近所の美味しいお店くらいは把握しておく

 「この間お客さんに【この辺に文房具屋さんないかしら?】って聞かれましたよ。だいたいみなさんこのあたりに住んでいらっしゃるかと思ったらそうでもないんですね。」

 「それはそうだよ。この辺で働いている人もいるだろうし、君が目指している商業エリアの駅付近だったら住んでる人なんて少ないわけでしょ。」

 「ですね。」

 「それでちゃんと教えて差し上げたんだよね?」

 「それはもちろんですよ。ちょうどお弁当を買いに行こうと思っていたので、ついでにお店の前までお連れしました。」

 「ああ、さすがだね。ま、さすがって言うほどいつもが素晴らしくはないけど。」

 「あら。褒めるときは褒めるだけにしておいてくださいよ。たまになんですから。」

 「いや失礼失礼。あ、そうだ。ついでにさ、ベテラン君、この辺の美味しいお店なんかも把握しておくといいよ。それ以外でも評判のいい美容院やお医者さんとかさ、まあなんでもそう。町のことは何でも知っておくといいね。」

 「え、つまりそのお客さんに有益な情報を持って帰ってもらおうってことですか?」

 「今日は冴えてるじゃないか、そういうことだよ。だってすごく美味しいお店を教えてもらって、行ってみたら本当に美味しかったら嬉しいでしょ。嬉しいと思われることはしたいじゃない。まあそれだけのことだけどさ。」

 「あとちょっと自慢げな気分になれますね。」

 「そうそう、それに紹介したお店にも喜ばれるでしょ。」

 「悪いことないじゃないですかあ。」

 「いやだから勧めてるんだって。」

 「ですね。ちなみに院長どうやってそんな情報仕入れているんですか?」

 「まず一番は逆にお客さんから教えてもらうことが多いよね。お話している中で【あそこ美味しかったのよ〜】と教えてくださったりするからさ。後はね、地域のフリーペーパーとかクーポン誌とかもいいね。でもね、一番詳しくて、聞きやすいいのって誰だか知ってる?」

 「え、え?誰ですか?」

 「では、それはCMの後!」

 「CMないですから。いいから早く!」

 「あ、はい。ええと【クーポン誌の営業マン】です。」

 「なななんと?」

 「驚き方が50年前だね。これはなんというか僕がいろいろ聞くからだと思うんだけどね、僕が広告を出したことのあるクーポン誌の営業マンさん達ね、担当者によってはよくお店にいらっしゃるわけよ。で、次回の原稿の打ち合わせなんかしつつ、現在発行中の冊子をおもむろに開いてだね、
【あれ、また新しいラーメン屋さんできたんですね〜】
【そうなんですよー、結構評判いいみたいで僕も食べてきました。美味かったですよ。担当別の人間なんですけど】
【そうなんですねえ、今度行ってみよう、あ、そういえばほら、あの美容院今度は乗せてないの?】
【いや、人気過ぎてとりあえず広告いらないと言われちゃいました。いやー、そう言われるとあんまり返す言葉無くて】
【ですねえ。そうそう、今日ね、歓送迎会やるんだけど、まだお店決めてなくて、どこか安くて美味しいところ最近できたりしてないですか?】
【あ、あそこなんてどうですか、ほらあの、セブンイレブンの横の…】
みたいな。そうやって小一時間しゃべるわけ。そうするともう結構町の情報がじゃんじゃん溜まるのだよ。」

 「おお、自分の足でコツコツ稼がないんですね。」

 「いやいや、自分でも行くけどさ、もうあの方達は仕事でガンガンこの辺歩いて回ってるからね、もう蓄積が違うよ。しかも業種もいろんなところに行くでしょ。お店だったら。」

 「なるほどなるほど。でもそんなにお話に付き合ってくれるんですか?」

 「いや、まあなんというか楽しく話している間に時間は過ぎていくって感じだと思うけど。あ、でもね、狙っているわけではないけど、僕もかなりいろんな情報を出していると思うよ。彼らがすごく知りたい情報とかね。」

 「なんですか?」

 「うちはさ、ほらデータを細かく取っているでしょ?【カルテプロ】で。」

 「ええ。」

 「だからそのデータを見せてあげるわけさ。もちろん個人情報は見せないよって当り前か。」

 「データですか。」

 「うん。例えばライバル誌から来客は何人あったのか。とかね。自分の雑誌から来た方のリピート率とかさ、そういうのってやっぱり知りたいよね。」

 「あー、それは知りたいですよね。」

 「そんな話を織り交ぜつつ情報交換を沢山するのさ。だからね、情報を沢山持っている人には情報が沢山やってくるのだよ。」

 「おお、なんだか格言ちっくですね。」

 「じゃあ君の部屋に張り出しておいてくれよ。」

 「それは、、しないですけど。」

 「う、うん、だよね。まあ、とにかく情報をお教えするのも喜んでもらうことになるよねって話さ。」

 「胸にはちゃんと刻み込んでおきます。」


このサイトの内容が良いなと思ったらぜひメルマガに登録してみてください。

このサイト内より最新情報を綴っていきます。

そして過去のメルマガは公開していませんので、逃さぬようにお早目のご登録を〜


戻る | ホーム | 次へ